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旅先の大切な思い出を綴っています  since Sep. 1, 2007
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雨滲むこんぴらさん。

お練りも三度目となると、場所取りもなかなか巧くなる。

片岡仁左衛門

金丸座にて明日から始まる、琴平は春の風物詩「こんぴら歌舞伎大芝居」。
今日は14時からお練りが行われた。

こんぴらさん高灯籠

今年の座長は片岡仁左衛門さんということもあり、金刀比羅宮の沿道は多くの人でごった返す。

普段からこんぴらさんへと続くこの界隈は独特の趣きがあるのだが、歌舞伎役者の幟が立ち並ぶこの季節、とりわけ情緒あふれる景色となる。
特に桜の開花が遅れた今年は、こんぴら歌舞伎と桜の見ごろがちょうど重なり、より一層雰囲気を盛り上げる。

お練りはそれらを肌で感じられる上に、役者さん達を間近で見られる最高の機会。
ましてや人間国宝の仁左衛門さん。
これまで歌舞伎を見たことのない私でさえ、つい足を運びたくなる。

その仁左衛門さんが現れた瞬間「お年を召されたな」と思ったが、柔らかく優しいお顔がなんとも心に残って私までもがほんわかした気持ちになった。

今回の演目は、仁左衛門さんの得意とする「矢口渡」と「お祭り」。
どんな舞台が日本最古の芝居小屋で繰り広げられるのか、実は初めてチケットを入手できた私は今からわくわく楽しみにしている。
お練りで見せた表情と舞台に立つ姿と、両方見られるなんて贅沢な話だ。


こんぴらさん


せっかくだから桜を観て帰ろう。
お練りの余韻に浸りながら、本宮へと続く参道を登って行く。

桜咲くこんぴらさん、雨に滲むこんぴらさん、しっとりとしたいい感じだった。

桜はやはり日本の景色に合うのだなあ。
優しい雨に濡れる桜も綺麗だなあ。

心までがしっとりと、桜の下、雨滲むこんぴらさんはまるで仁左衛門さんの柔らかいお顔のような雰囲気。


こんぴらさん3

こんぴらさん2

こんぴらさん4







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滝宮→京都→大宰府の順で。

梅の香りに誘われて、天満宮を訪れた。

香川県綾川町、滝宮天満宮。

滝宮天満宮・梅4

こちらは、菅原道真公が讃岐の国司として四年間住まわれた場所。

道真が地方で政権を取った唯一の地なんだとか。
此処での経験を活かして後に大出世した由縁で、ここは立身出世の登竜門と云われている。

滝宮→京都→大宰府の順で参拝するといいのだそう。

滝宮天満宮・飛び梅

飛び梅

拝殿前には太宰府天満宮より株分けされた「飛び梅」がちょうど満開を迎えていた。

白梅のかぐわしい香り。
春には桜もいいが、この香りを嗅ぐと背筋がすっと気高い気分になる。

滝宮天満宮・梅

滝宮天満宮・梅2

滝宮天満宮・梅3

毎年、この時節には栗林公園の梅林を訪ねるのだが、今日はこちらに足が向いた。

不思議だ。
天満宮の梅と思うだけで、一段と凛々しく趣きが違って見える。

出世に興味はないけれど、ここ滝宮を参拝した今年はせっかくなので機会があれば京都と大宰府にもと思っている。

滝宮天満宮・梅5

夜のこんぴらさんで「金毘羅船々」を唄う。

「節分の夜、こんぴらさんで小豆粥の接待があるよ。」

そう教えてもらった私は、次の日が仕事だったにもかかわらず、夜のこんぴらさんへ登ることにした。

こんぴらさんとはお馴染み、香川県琴平町にある金刀比羅宮のこと。
わが家からは20分ほど車を走らせた処にある。

地元の方の話では、そのこんぴらさんで年に三回、旧正月の前日と節分の夜、そして大晦日に小豆粥が振る舞われるとのことだ。

節分と言えば豆まきや恵方巻、小豆粥といえば小正月なのだろうが、白い息を吐きながら長い石段を登って小豆粥を戴く節分も悪くないと思った。
もちろん、こんぴらさんでも豆まきを行う節分祭もあり、それは午後5時より執り行われる。
小豆粥の接待は夜の10時からで、それを食すると邪気を除くとされるそうだ。


最近のこんぴらさんは奥社参拝を推しているのか、今年から新しい天狗守りが売り出され、「奥社はパワースポット」と書かれたポスターが至る所で目についた。
何故天狗なのかというと、奥社の西側は断崖となっており、そこに天狗とカラス天狗の彫物があるからだろう。

表参道を行くと、御本宮までは785段、奥社までなら1368段の石段を登らなくてはならない。
讃岐に住む私でも、奥社はこれまでに二度しか参拝していない。

しかし、小豆粥を頂ける接待所は神馬を飼養している御厩前の広場、だいたい400段目に設置される。
先日も表書院で円山応挙の障壁画を観るため430段ほど登ったばかりだったので、それなら貧血ですぐに息が上がる私でもなんとか登れるだろうと思った。

午後8時半、こんぴらさんの麓から登り始める。

2017-02-03こんぴらさん釣燈籠

その夜、私と友達2人以外ほとんど人影はなく、暗くひっそりとした石段が続いていた。
夜のこんぴらさんは初めてだった。

普段の日は、巨大イノシシが出没するため夜間参拝は控えるよう申し渡しされている。

「もう200段目くらいかな。」
息切れがし、重い足を引き摺りながら顔を上げると「100段目」の文字。
なかなかキツイ道のりである。

御厩前の広場に近づいて、やっと人の気配を感じ始めた。
子供も数人元気に声を出して走り回っている。

ゆっくりと登ったので、午後9時頃接待場所に到着した。

2017-02-03こんぴらさん・小豆粥接待所

10時より早い時間であっても小豆粥が出来ていれば早く戴けると聞いていたのだが、その日の接待係は時間厳守の方のようで、それから1時間待たされることとなる。

風もなく、厚着のおかげで寒くもない夜だったが、さすがに冬空の下でただ待っているのはつらい。

そこで御本宮を参拝しようと決意した。
ただの参拝なら決意のいることではないのだが、あと385段の石段がそれを要した。

特に最後の100段が苦しい。
日ごろの運動不足で息は上がるのに足は上がらない。

​​​金毘羅船々 追い手に帆かけて シュラシュシュ・・​・​​​
自分たちを鼓舞する意味もあって、大きな声で唄う。
辺りには誰もいない。

廻れば四国は讃州那珂の郡 象頭山金毘羅大権現 いちどまわれば・・・​
ちょうど785段目のところで唄い終えた。

「御本宮、到着ぅ~!」

2017-02-03こんぴらさん

とその時、若い男性が一人、目の前に現れた。

かああぁぁぁ。 
その場が明るければ、顔面真っ赤っかな私が相手に見えてしまっただろう。

「うるさくしてすみません。」
「いえいえ、いいですよ。」

相手は確かに笑っている。
カメラを提げた、爽やかでなかなかイケメン風な男性だった。

「奥社まで行かれたのですか?」
「ええ、行って来ました。」

夜の真っ暗なこんぴらさん、しかもイノシシと遭遇するかもしれない長い石段を1000段以上も登る人がいるのか。しかも一人で。

違う意味でドキドキした私たちは、御扉閉していることもあってお参りするのをすっかり忘れてしまっていた。

いや、本日の目的は小豆粥。
お参りは改めて、その時は奥社にも挑戦したいと密かに誓う。

2017-02-03こんぴらさん・小豆粥

優しい味にお腹の底からしっかり温まった夜である。





空にしられぬ雪ぞふりける

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


昨日は愛媛県今治市の大山祇神社に参詣しました。

大山祇神社

大山祇神社2

こちらは芸予諸島の大三島にあり、しまなみ海道を渡ります。
しまなみの風光明媚な景色もさることながらこの神社の厳かな雰囲気が大好きで、少し遠出ではあるものの、時々お詣りさせていただいております。

大山祇神社・御神木(樹齢2600年大楠)

樹齢2600年の御神木を前にすると、それだけで神代時代からのパワーを戴けるようで、気持ちも一段と引き締まります。

おみくじは大吉。
母が凶を引いたので、二人合わせて末吉くらいでしょうか。笑
良すぎるのも気が緩みがちになりますので、それくらいの方がよしとしておきましょう。

おみくじに書かれた御歌は、

桜ちるこの下風はさむからで空にしられぬ雪ぞふりける (紀貫之)

桜の花びらを雪に例えた美しい歌です。
空にしられぬとは、つつましさを感じられる素敵な表現だなと、貫之の豊かさを感じずにはおられません。
今年、私もこのような感性を磨けたらと思いました。


そして本日、七草粥を戴く日。

七草がゆ(朝比奈)

新しい一年が皆様にとっても無病息災でありますように。




粟島。

瀬戸内国際芸術祭2016の春夏秋すべてが終わった。

3年に一度の大イベントは今回も大成功だったんじゃないだろうか。

私は春に沙弥島、秋に高見島と粟島を訪れた。

どれも香川県西部に位置する島。

今では世界的に有名なアートの島となった直島や豊島(てしま)、小豆島などの東部の島は世界的にも有名なアーティストを呼んでの華やかな作品群だったんじゃないかと思う。
対する西側は秋期のみ開催の島が多く、島民を中心に島の歴史や生活と密接した作品が中心だった。

もちろん、東の島もそうであったと思うのだが、香川県は日本一小さな県の割に、東讃(とうさん)・西讃(せいさん)ときっちり県民性も言葉も文化も異なっているので、表現の仕方に違いがみられるだろう。
ちなみに食べ物でいえば、うどんと骨付き鶏は西、和三盆は東である。

と話は逸れてしまったが、今回訪れた島のうち粟島は以前から行きたい思いの強い島だった。

隣町の港から船で10分、少し海岸線をドライブすればいつも目にする島なのだが、船に乗るというのが腰を重くさせていた。
瀬戸芸はそんな身近であって身近じゃない島を旅するきっかけをも作ってくれる。

そこは、日本初の国立粟島海員学校跡があり、夏は海ほたるが美しいところ。
そして、漂流郵便局が置かれている島だ。

2016-09-18漂流郵便局

漂流郵便局。

それは、届け先のない手紙を受け入れてくれる郵便局。
昔の郵便局跡を利用して、3年前の瀬戸芸のアートプロジェクトで始まったものだ。

伝えたくても伝えられない想い。
大好きな人へ、片思いの君へ、初恋の人へ、未来の花嫁さんへ、可愛がっていたペットへ、そして今はもう永遠に会えなくなったあの人へ。

そのほとんどが故人に宛てたもので、読みながら涙を流している人もちらほら見かけた。
そう、その誰かに宛てた手紙は私たちが気軽に手に取って読むことができるようになっている。

行き場のない思い、届け先のない思いを乗せた手紙を読んでいると、今、自分の周りにあるすべてのものに優しくしよう、大切にしようという気持ちがおのずから沸いてくるようだった。

それは素朴な景色のなかだから余計に心に沁みて来る。

それは島時間のなかだから余計に心に刻み込まれる。

そして漂流郵便局の局長さんの穏やかな笑顔に、センチメンタルになった心がほっとする。

2016-09-18漂流郵便局2


3年後の瀬戸芸を待たずして、また訪れたい島だった。

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