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I love Salzburg

ARCHIVE PAGE: 2014年09月

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五輪、つかの間共存の夢。ーサラエボ100年(朝日新聞)

第二次世界大戦後、社会主義の理想を掲げたユーゴスラビアでは、異なる民族が一致協力して連邦国家を支えていく、という考え方が支配的なイデオロギーだった。20世紀前半に地域を揺るがした民族主義は、統合を妨げる危険思想とみなされた。独裁者チトーの下、そうした考えは芽の段階で摘み取る、という統制が徹底された。チトー自身が、自分の民族的出自をあえて公言しなかった。国外に向けては、社会主義国でもスターリンのソ連と...

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大戦100年、欧州の国境とナショナリズム。(朝日新聞)

湖畔に近い森の間を、すでに秋を思わせる風が吹いていた。8月19日、ハンガリー西部のショプロン近郊の対オーストリア国境で、「汎(はん)ヨーロッパ・ピクニック」25周年を記念する集いを取材した。森の中に一本の小道が抜けていくだけの場所に朝から車やバスを連ね、多くの人が集まった。東西冷戦下にあった1989年のこの日、「鉄のカーテン」と呼ばれた国境のこの場所で「汎ヨーロッパ・ピクニック」という名の市民集会が開かれ...

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父は「好ましからざる人物。」ーサラエボ100年(朝日新聞)

100年前からサラエボに住むクロアチア人一家を探し出せなかったが、やっと条件にかなう取材相手がみつかった。ムラデン・シュテイさん(83)。 弁護士だという。話を聞くと、この街がたどった運命に翻弄(ほんろう)された一族の出身といってよい人だった。ムラデンさんの家は、サラエボでも中心部の旧市街に近いアパートにあった。住所は「ハムディヤ・クルシェブリヤコビッチ通り」。前シリーズで話を聞いたボシュニャク(モス...

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『アイルランド幻想』を読み終える。

一週間程前のスコットランド独立投票の影響だと思う。ふとケルトの話が読みたくなって、スコットランドではないが、手元にある唯一のケルト小説『アイルランド幻想』を開いてみた。それは、全11話からなる短編集で、神話や伝承をベースにしたアイリッシュ・ホラーである。ケルト音楽が大好きで、これまでコンサートやらリバーダンスに足を運び、その時も感じた霧の中を歩くようなどこか不気味で暗く妖しげな雰囲気と、しかし底辺に...

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「なに人か」昔は聞かなかった。ーサラエボ100年(朝日新聞)

ボスニアの主要3民族の一つであるクロアチア人と、同じカトリック信者だというだけで一緒の民族にされたくない。そう考えて「ヨーロッパ人」を名乗るズドラフコ・ラタルさん(77)には「ユダヤ人のいとこがいる、」という。紹介してもらい、サラエボ新市街の北寄り、小高い丘の中腹にある住宅街のアパートを訪ねた。ここで息子一家と暮らす小柄なおばあさんが、その人、リエカ・ラタル・ダノンさん(85)だった。リエカさんはにこ...

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「民族自決」でくくれぬ現実。ーサラエボ100年(朝日新聞)

第一次世界大戦が始まって100年の今年、発端となった「サラエボ事件」の舞台、現在のボスニア・ヘルツェゴビナの首都に暮らす人々の1世紀をたどってみたい。この国を構成する主要3民族、ボシュニャク(モスレム)人、セルビア人、クロアチア人それぞれの家族史を通じて。二つの大戦と1990年代の内戦で、サラエボは20世紀に3度も戦火をかいくぐった。この街の人々を見つめることで、複雑な民族問題の背景が見えてくるのではないか...