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旅先の大切な思い出を綴っています  since Sep. 1, 2007
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イサムノグチ庭園美術館。

イサムノグチが晩年アトリエを構えていた場所が現在、イサムノグチ庭園美術館として開放されている。

香川県は高松市牟礼町。

随分と前から行きたいと思っていたが、それは2週間前までに往復ハガキで予約申し込みをしなければならず、面倒くさがりの私には近くて遠い美術館だった。

だが先月のこと、岡山に住む親友から誘いがあった。
彼女もずっと行きたい思いは強かったのだが、これまでタイミングが合わなかったそうだ。


「10月27日、午後1時に予約が取れました。1時間の見学だそうです。
お昼を食べてから行きましょう。ランチはpicchuちゃんにお任せするわ。」


少しづつ木々も色づき青空が美しい季節、太陽の下で制作し続けた彼の作品を鑑賞するのに最高の機会である。

そしてそれは、想像以上に素晴らしいものだった。


絶妙な空間。

写真では表しきれない大胆な動きと安定感。
思わず手を触れたくなるなめらかな質感。

石の持つあらゆる表情に驚いた。


芸術とは時に挑戦的であるだろうが、彼の作品のもつ美しさは見る人に安心を与えてくれる。

美しいって、すごいことだと思った。


そして、「彼は相当の女好きだったのが分かるよね。」
友人の言葉に思わず笑った私も、かつて石の彫刻にこれほど艶かしさを感じたことはない。(笑)

彼の作品には色気があると思う。
そういうと、ただ表面的に捉えられては全く意味が異なってしまうが、放つ色気がより人を惹きつけてやまないのだと思った。


10-27 2.イサムノグチ庭園美術館



見学する前に流れていたビデオの中で、日本人とアメリカ人のハーフであった彼はどこにいても異邦人で、根無し草のような孤独を抱えていたというような内容があった。

アトリエは、イサムノグチも気に入ったこの辺りで産出される世界でも評価の高い庵治石を積んだ円で囲まれ、彼の指示したとおり完、未完に関わらず、そのままの形で保存維持されている。

彼が線を引き、その上を囲んだというその円を見たとき、もしかしたら、彼はここに自分の居場所を作りたかったのかな、根を下ろしたかったのかな、と感じた。


彼は84歳で亡くなったのだが、84歳の誕生日もこのアトリエで制作していたそうだ。

拠点は彼の生まれ故郷のニューヨークであったが、春や秋などの時候のいい頃はここに滞在していたらしい。
県内の丸亀市にあった武家屋敷を移築し、そこに居を構えた。

1988年11月17日、ここで84歳を迎えた後、もう一つのアトリエがあるイタリアに移った。
そこで風邪をこじらせニューヨークに戻ったのだが、そのまま肺炎となり帰らぬ人となってしまった。

彼は、春にはまたここで制作を続けるつもりだった。

このアトリエはその時のまま、今もイサムノグチとともにある。


10-27 1.イサムノグチ庭園美術館


それは、屋島と庵治石が採石される五剣山に囲まれた自然豊かな場所にある。

アトリエを見学後に訪れた屋島から、彼が造った庭園の盛り土とそこに置かれた卵型の石が小さく見えた。





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父思う秋桜。

先週の日曜日、またも母と愛犬2匹を連れて彦根を訪れた。

今年の4月に彦根城へ花見に行って以来、威厳ある天守閣にお濠の趣きといい、城下町の雰囲気といい、私も母も彦根をすっかり気に入ってしまったのだった。


また、彦根といえば江戸時代、城主の井伊氏は茶の湯にも長けており、なので美味しい菓舗が沢山あるのも嬉しいところ。
とりわけ私たちの好みと合ったのが老舗の「いと重」である。

その代表銘菓である「埋れ木」は高松三越にも入っているのだが、私が行くときはいつも売り切れで悔しい思いをしていた。
今回、その「いと重」での買い物も楽しみの一つにあった。


彦根城外濠に面した「たねや」に多くの人が流れる中、少し奥まったところにひっそりとその本店はある。


「埋れ木」は一番に頼んだ。
「道芝」と「あわの海」はお盆のお供えにと取り寄せし、すでに頂戴していたので別のものをと店内を見回した。

目に留まったのは美しい生菓子。

銀杏などの秋らしい造形美の生菓子の中で、秋桜のピンク色が可愛いと思った。


そして、その愛らしい秋桜を眺めていたら、父が生前よく聞かせてくれた京城(現ソウル市)の想い出が脳裏に浮かんだ。

京城生まれで、終戦間近までそこで暮らした父の子供時代、この季節は家の裏の空き地は一面秋桜で埋め尽くされていたそうだ。
その美しい情景は侘しさと相俟って、幼かった父の心の奥深くに焼きつけられたのだろう。

秋桜を見ると京城を思い出す、毎年秋になるとそう言っていた。


この和菓子を父の仏前に供えよう、そう思いついた。



「父さん、今年も秋がやって来たよ。」

お鈴を2回鳴らし、想像でしかない父の故郷を偲びつつ手を合わせた。


いと重・秋桜.jpg


彼女のこと。

他人の真似事や流行を追うことが苦手な私でも、大学時代のある親友からは多大な影響を受けてしまう。


フィレンツェ駅構内にあるカフェのエスプレッソが美味しいと彼女が言えば、その半年後にはイタリアに立つ私がいるし、 大山崎山荘美術館でやってる山口晃さんの作品展が良かったと聞けば、いそいそと京都へ出かける私がいる。
彼女がウィーンの国立歌劇場でオペラ三昧をすれば、私はドレスデンのゼンパーオーバーでのオペラ「リゴレット」のチケットを取った。


たぶん、親友である前に私は彼女に憧れているのだろう。


歳も星座も血液型も同じで、意地っ張りなところも我が儘なところもそっくりな彼女に、昔は嫉妬ほどではないにしろ、ライバル心に近いものを抱いていたように思う。

よくぶつかっていたけれど、お互い30歳を過ぎた頃から少し無駄な角が取れて、自分の中で素直に彼女へのあこがれを認められるようになった。



先日、その彼女が最近よく図書館に通ってるんだと話してくれた。
行動経済学や行動心理学が面白くて、色んな本を読み漁っているらしい。
そして、それらと並行して小説を読むと、また違った視点の面白さがあると言う。

彼女の2時間もの熱弁に、又も私は感化されてしまった。
私は本は購入派だったけど、図書館で借りる方が自分の興味ない分野も気軽に手に取れて冒険できる。


早速、地元の図書館へ行ってみた。
すごく久しぶり。
古い田舎の図書館だから、新着の棚に6年前の本が並んでいて笑った。

一応、行動経済学の本を探したら古そうなのが一冊。
これからは隣町の図書館にも通おうかな。

図書館に入ると、不思議と学生だった幼い自分を思い出してノスタルジックな気分になるのもいい。


そして次回彼女と会った時、今度はどんな刺激を得るのか、今から楽しみにしてる私がいる。


本.jpg

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