I love Salzburg

旅先の大切な思い出を綴っています  since Sep. 1, 2007
MENU

難民の波、欧州揺さぶる。ーハンガリーから大移動(朝日新聞)

ドイツなどで難民申請したいと望む人々が同じ欧州連合(EU)加盟国のハンガリー国内で足止めされていた問題は、ハンガリーの方針転換とオーストリアの柔軟な対応でひとまず収束に向かう見通しだ。
しかし紛争地から人々が欧州に押し寄せる状況は続く。
難民受け入れの共通政策を模索するEUも、内側に深刻な対立を抱え、「欧州統合」の理念が問われている。


■朝のオーストリア国境、人が埋め尽くした

ハンガリー国境に接するオーストリア東部ニッケルスドルフ。
夜明け時の5日午前6時過ぎ、近くの駅を目指す数百人が、幹線道路を埋め尽くした。

バックパックを背負った家族連れ。
汚れた衣服の若者のグループ。
ハンガリーからバスで送られ、徒歩で国境を越えた人々だ。

「こんな光景は、見たことがない。」
警戒にあたった警察官がうなった。

ハンガリー政府は4日深夜から、大量のバスを投入してオーストリアとの国境へ人々を運び始めた。
ニッケルスドルフに難民や移民が到着し始めたのは5日午前3時ごろ。
2007年まで国境審査に使われていた検問所の跡地が、人々で埋め尽くされた。

8月16日にダマスカスを出発したというシリア人学生スルタン・マーロウリさん(27)はブダペストに9日間も足止めされた。

摘発を恐れ、ブダペストの駅前を避けて通りで野宿していた。
街で見かけたテレビでバス輸送が発表されたのを知り、深夜にあわてて駅前に駆けつけ、バスに乗ったという。

「いろんな国を通ってきたけど、ハンガリーの警察は最悪だった。」

ニッケルスドルフ駅には、難民らが次々にバスで運ばれてきた。
ボランティア団体の人々が用意した水のペットボトルやお菓子、バナナ、中古の靴や服などが配られた。

妹家族や友人らと、シリアのアレッポから32日間かけてオーストリアにたどり着いたというパレスチナ人男性ハサン・ミアリさん(38)は、「ドイツに行って働きたい。アレッポの自宅に残る妻と子供を呼び寄せたい。ノーモア・シリアだ、」と話した。

独南部ミュンヘン行きの列車に、まず100人ほどが乗り込んだ。
「ドイツ・オーストリア・ありがとう、」英語でそう書いた厚紙を掲げる人もいた。

ドイツ警察は5日だけで最大1万人がオーストリアを経由してドイツに入るとみている。


■「経済目的」 独の世論反発

今年ハンガリーに流入した人は15万人を超え、さらにペースが増している。
ハンガリーの混乱収拾や、難民救援を求める世論の高まりを受けて、オーストリアとドイツは緊急的な入国許可に踏み切った。
だが、今回の対応を見て、ますます難民らの流入が増えることも予想される。

近年の難民増加の最も大きな要因は、シリア内戦の長期化だ。同国から約400万人の難民が流出した。
約200万人が身を寄せたトルコなど、周辺国に逃れた人も避難生活のめどが立たなくなっている。

中東やアフリカから欧州を目指すルートは大きく二つ。
リビアからの密航船でイタリアやギリシャにわたる「地中海ルート」と、トルコからギリシャを経由してバルカン半島を北上する「バルカンルート」だ。

多くの人が目指すゴールは、欧州最大の経済大国ドイツ。
同国では今年、過去最多の80万人が難民申請すると予測されている。

ドイツでの認定審査の間、申請者は政府による保護施設で暮らし、1人あたり最大月143ユーロ(約2万円)の手当も支給される。

いま、申請者の最大の出身国はシリアだが、一方で約4割は、EU未加盟の近隣国など、安全な国からの就労目的の「不法移民」だとされる。

そうした申請者が正式に難民認定されるのは1%以下にすぎないが、ドイツ国民には「税金が食い物にされている、」との不満がくすぶる。
世論の理解を得るためにも対応が急務だ。

独仏両政府は、「欧州の玄関口」となっているギリシャやイタリアに、EU主導の難民登録センターを設けることを提案した。
両国任せを改め、欧州の入り口で、保護すべき難民か否かを識別する狙いだ。


■受け入れ割当制、対応割れるEU

EUは、独仏などの主導で、加盟国に人口や経済規模に応じて難民申請者の受け入れを義務づける「割当制」の導入を検討している。
欧州委員会の報道官は4日、ギリシャやイタリア、ハンガリーに到着した難民申請者計16万人を加盟国に割り当てる方針を明らかにした。

ドイツのシュタインマイヤー外相は4日、「この局面で、欧州に分裂している権利はない、」と述べた。

「割当制」に消極的な英国のキャメロン首相も、シリア難民の男児の遺体写真が公開された後、世論の高まりに押され、数千人のシリア難民を受け入れるとの方針を発表した。

だがハンガリーやポーランド、スロバキアなど中東欧諸国は、経済的な負担などを理由に「割当制」を拒否している。
難民の殺到について、ハンガリーのオルバン首相は難民が定住を望んでいるのは西欧だとして「これは欧州の問題ではなく、ドイツの問題だ、」と反発している。

5日、外相会合を終えたEUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は会見で「各国の立場は違い、義務的な受け入れの合意は非常に難しい」と率直に認めた。
同時に「責任を分担する仕組みを見つける必要がある」と語った。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、バルカンルートから欧州入りする人の7割が紛争国の出身者であり、「何らかの保護を必要とする人々」にあたるとの見解だ。
グテレス国連難民高等弁務官は4日、EUが難民問題への対応で「決定的な局面」に直面していると声明で警告。
難民20万人の定住を受け入れるよう求めた。




(喜田尚・松尾一郎・玉川透・吉田美智子)

スポンサーサイト

該当の記事は見つかりませんでした。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。