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in コラム

「人権とは」:EU紛糾、難民16万人割り当て案発表。(朝日新聞)

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欧州連合(EU)は9日、紛争地のシリア、イラクなどからの難民計16万人を今後2年間で加盟国に割り当てる案を発表した。
7月に4万人で合意していたが、その後の難民らの殺到に対応して12万人を上積みした。
中・東欧各国は義務づけに反発しており、議論の紛糾は必至だ。
一方、豪州や南米各国は欧州に連帯して難民の受け入れを表明。
国連は、アジアを含めた各国に公平な分担を求めている。

今回の12万人の内訳は、ドイツに約3万1千人(7月合意分と合わせて約4万2千人)、フランスに約2万4千人(同約3万1千人)など。
EUの行政を担う欧州委員会が人口や経済規模に応じて定めた。
欧州の「玄関口」となり、すでに多くの難民らが入国しているギリシャとイタリア、ハンガリーは対象外だ。
また英国、デンマーク、アイルランドは以前からEUの移民政策の適用除外が認められており、含まれない。

EUには、難民申請者が最初に到着した国が認定手続きをする規則があり、難民への対応は各国任せだった。
「割当制」は、これまでの難民対策を大幅に改めるものとなる。

各地で混乱は続いている。
ロイター通信によると、デンマーク当局は9日、ドイツとの間を走る国鉄の国際列車の運行を停止した。
「国境での例外的なパスポート検査のため」としている。
ドイツに通じる道路も閉鎖した。
難民保護が手厚い隣国スウェーデンでの難民申請を希望する数百人が、ドイツ方面から北上していたという。




(吉田美智子)



義務化に中・東欧反発

「EUと加盟国が協力し、大胆で決定的な行動をとる時だ。」
9日、仏ストラスブールの欧州議会。ユンケル欧州委員長が演説で訴えると、拍手が起きた。
「難民のための連帯」と記した紙を手にした議員もいた。

前日、ドイツのメルケル首相は記者会見で「世界が我々を見ている、」と強い口調で語った。
「『遠い国のシリアなんて自分には関係ない』とは言えないはずだ。」
東欧各国の反対が念頭にあったのは明らかだ。

会見にはスウェーデンのロベーン首相が同席していた。
2013年9月、同国に逃れたシリア人に永住権を与えると発表、難民受け入れの先陣を切った国だ。

ドイツの難民受け入れの背景には、労働力としての期待もあると指摘される。

だがメルケル氏がいま強調するのは、「保護すべき人は保護するのが欧州の伝統」という持論だ。
受け入れに積極的な国々には、難民問題は「人権」という欧州共通の理念に関わるテーマだ、との認識がある。

この点で、西欧と東欧の考えの違いはあらわだ。
ハンガリーのオルバン首相は「彼らが欧州に来るのは、我々と同じレベルの生活を望むから、」と発言。
紛争地出身でも「就労目的の不法移民」とみなす考えだ。

遅れてEUに加盟した東欧各国。
自国民もよりよい生活のため、豊かな西欧各国へ移っている。
「西欧を目指す難民を、なぜ我々が受け入れなければならないのか、」という思いは強い。

難民の受け入れには経済的、社会的に大きな負担が予測される。
欧州委は受け入れ国に補助金を出す一方、正当な理由なく受け入れを拒否した場合は、国内総生産(GDP)で最大0.002%分の「EU予算への財政的な貢献」を求めるという「アメとムチ」で臨む方針だ。



(玉川透・喜田尚)



豪・南米、受け入れ表明続々

欧州以外の各国も、相次いでシリア難民の受け入れを表明している。
まず手を挙げたのは、これまでも多くの難民や移民を受け入れて国造りをしてきた国だ。

オーストラリアのアボット首相は9日、シリア・イラクの紛争による難民を新たに1万2千人受け入れると発表した。
「迫害された少数派の女性、子供、家族」に焦点を当て、豪州政府のチームが現地入りして対象を決めるとしている。

中東戦争を逃れた人々などの大きなコミュニティーがあるブラジル。
ルセフ大統領は7日、独立記念日のメッセージで「ブラジルは多様な国籍の人々が集まり、平和に暮らす国だ、」と演説。
「両腕を広げて難民を迎え入れる」と述べた。

ベネズエラは2万人の受け入れを表明、チリは100家族の保護を打ち出した。
アルゼンチンも協力的だ。

カナダでは8日、ブリティッシュコロンビア州のクラーク首相がシリア難民の受け入れに向けて100万カナダドル(約9千万円)を支出すると表明した。



(郷富佐子・田村剛)



日本、シリアの難民申請60人 認定は3人のみ

国連で人口移動問題を担当するサザーランド事務総長特別代表は8日、難民申請者への対応について、「すべての国は公平に分担する義務がある、」と述べた。
米国やカナダ、南米などと合わせて「極東アジアも含む、」と述べた。

日本のNGO「難民支援協会」(JAR)によると、シリアから日本に入国して難民申請したのは60人(10年~14年11月)。
そのうち、難民と認定されたのは3人だけだ。

ドイツでは今、シリアから逃れた人はほぼすべて難民と認定されている。
だが日本で難民と認められるのは、難民条約が定める「人種や宗教、政治的な理由などで迫害される恐れ」がある人のみとされる。
内戦が起きている地域から逃れてきたというだけでは難民と認定されていないのが現状だ。
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