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旅先の大切な思い出を綴っています  since Sep. 1, 2007
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まるでそれは一幅の絵を見るようだった。

雨がひとしきり降った朝、紅葉を見に但馬の安国禅寺を訪れた。

年々口コミで広まったその紅葉は、多い日には狭い境内に3千人もの人が押し寄せるそうだ。
もちろん、お寺の方がうまく誘導してくれるのだが、できればゆっくり穏やかに観賞したい。


香川から兵庫県豊岡市にあるお寺までは片道およそ4時間半掛かる。

拝観時間は朝の8時から。

朝一番ならそう人も多くないだろうと、再び得意の真夜中ドライブを決行することにした。(笑)


この安国禅寺は、夢窓疎石の薦めによって足利尊氏が全国各地に国家安泰祈願のため建立した安国寺のひとつ。
歴史は古いが、七堂伽藍を有したというその境内は享保2年(1717年)に火災により焼失し、現在建物はそれより北方に移されている。

その本堂の裏庭に、樹齢100年を越えたドウダンツツジが広がっている。
それが秋になると真っ赤に燃え上がるのだ。

その僅か2週間、お寺は一般客にも開放される。



2015-11-10 03.安国禅寺



安国禅寺に着いたのが7時半。

駐車場は私が気づいた範囲で第4駐車場まであり、第3駐車場から入る細道は一般車両はご遠慮願いますとの看板が立っていた。
だが、まだ時間が早いのと、母が高齢であったため、寺門を掃除していたご住職の奥様が、お寺のすぐ前に停まらせてくれた。

「遠方から来てくださったんですね。」 

気さくに声を掛けてくださり、「まだ拝観時間ではないですが、せっかくなのでどうぞ中へお入りください」とまで言ってくださった。

恐縮しながら車を降りると、奥様は私の車のナンバーを見ながら、「私も香川の出なんですよ」と話し出した。
そこから一気に親しみが沸いたように会話も弾んだ。


2015-11-10 11.安国禅寺


私は写真を見て知っていたが、全く想像だにしていなかった母はこの瞬間、思わず「うわぁ」と声をあげた。

知っていたはずの私も息を呑んだ。


「上にあがって、もっと前の方でゆっくりご覧になってください。」

私たちは祀ってある達磨大師にお参りもせず、そのドウダンツツジから目が離せなくなった。


「昔は一本の株だった木が、子や孫でここまで増えましてね。
それにここは雪深いところでして、本来なら上へ上へ伸びる枝が雪の重みでこんな風に横へ広がったんですよ。」

「これは雪が造った芸術ですね。」

奥様はこまごま用事をされながら、そんな話を聞かせてくれた。


「それで、いつからこんなに有名になったんですか?」

その時、上述したお寺の縁起を教えてくださり、
「20年前、昔のお寺の跡地に千本ものナツツバキの群生が見つかりましてね。
たぶん、当時お庭に植わっていた木の種からなんでしょうけど、それが先に話題になったはずなのに、今ではこのドウダンツツジの方が見事だと有名になりまして。」

「春には白い可愛い花が一面に咲くんですよ。紅葉の方が見事だから、春は開放していませんけど。」 
そう言って、2枚のポストカードをお土産にくださった。


「へぇ、夜中に香川から来なさったんですか。 それは遠いところから、、」
そう言いながら、お寺のおとこしさんがお盆に急須と茶碗を乗せて現れた。

「せっかくやから、ドウダンツツジをバックにこれを真ん中に置いて写真を撮ってあげますよ。」

まさかお茶までと一瞬思った私は、「そうお気遣いなさらずに」と喉まで出かかっていた言葉を飲み込んで正解だった。(笑)



2015-11-10 09.安国禅寺



それは、まさに一幅の絵を見るようだった。





奥様から戴いたポストカードは、そうだ、ドウダンツツジが大好きな恩師へのお土産としよう。

2015-11-10 12.安国禅寺のポストカード

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