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FOUJITA。

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仕事でとても疲れた先月末、家でゴロゴロするだけでは気分転換にならないと映画を観に出掛けた。

12月以降、私としてはよく映画を観に行く。
一度映画館で観てしまうと、そのサイクルはしばらく続いてしまうのだ。


その日選んだのは、気分で『FOUJITA』だった。


01-30 映画「FOUJITA」


画家・藤田嗣治の絵は、別に嫌いでもないが特に好きということもない。
しかし、どこか私の好きなモディリアニやローランサンにも通じるところがあって、彼の絵に出会うと立ち止まってしまう。

といっても、フジタの絵の本物を観たのは隣町にあるカフェが初めてで、美術館で観た記憶は殆どない。

そのカフェは、今は亡きオーナーさんが大のフランス好きで、年に何度も渡仏して集めた骨董品や絵画に囲まれた空間と、南仏から眺める地中海を模して瀬戸内海を一望できるテラスがある。

オーナーさんの好むシャネルの香水が微かに漂い、会話の邪魔にならない低い音で流れる古いフランス映画も憎い演出。
目の前の海は南仏をイメージしたものでも、オーナーさんの醸し出す雰囲気からか私にはどこかパリを感じられる場所だった。

それはレモンの木の鉢植えを横目に少し坂を上って行くのだが、その庭の一角にピンク色した小さな美術館があって、そこに20点ほどフジタやコクトーの絵が並んでいる。


この映画は、そのフジタの絵のような作品に仕上がっていた。

日本とフランスの合作というのも納得させる。

フジタのトレードマークであった「おかっぱ頭に眼鏡」姿のオダギリジョーもなかなか様になっていた。


絵描きの、しかも裏町が舞台であるから、そう気取ったパリの町を観ることもなく、

初めて私がパリを訪れた時の、まだ夜が明けきれてない早朝いきなり黒人女性に恐喝され、緑色のゴミ収集車が走るパリの記憶にぴったりだった。


久しぶりに思い出したパリが恋しくなって、前述のカフェに行こうかなと思うも、
オーナーさんが亡くなって以来、同じ家具や食器に囲まれても、景色は変わらず美しくても、不思議とパリの香りは消えてしまったように感じて。

それでも、ピンク色した小さな美術館だけは、フジタの絵の前でシャネルの香りをさせたオーナーさんに会えるようで、まだパリの空気が残っていると信じたい。

そういえば、オーナーさんはどこかフジタに似ていたような。


パリを愛し、パリに愛された人だけに共通する何かがそこにあるのだと、そう思った帰り道だった。



と書けば、しっかり映画を観たように聞こえるが、実際はよほど疲れていたのだろう。
日本でのシーンは殆どが夢の中、記憶にない。(笑)
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