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ノーベル賞授賞式に参加して①・・・香川高専詫間専攻科2年春日貴章(四国新聞)

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① 派遣決定 <福島原発事故が契機>

昨年12月4日から12日にかけて開催されたスウェーデンのストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)へ思いがけず参加することがかなった。
世界各国から厳しい選考をくぐり抜けた若手研究者が一堂に集い、倫理セミナーと呼ばれる議論や1千人規模の現地高校生に向けた研究発表、そして授賞式や晩さん会をはじめとしたノーベル賞関連行事にも参加できる貴重な機会である。
これまでの人生で最も濃厚だった8日間を終えて、得たものは非常に大きい。

SIYSSは現地での研究発表がセミナー全体の大きな部分を占めており、参加者は自身の研究テーマを持ち、現地で研究の成果を分かりやすく発表することが求められる。
私は研究テーマである、放射線をどうすれば止めることができるのかを学ぶための教材「放射線の遮蔽(しゃへい)方法学習教材」を応募用紙に記した。

放射線や原子力の世界との出合いは、2011年3月までさかのぼる。
当時香川高専の本科2年生だった私は、現在の指導教官でもある天造秀樹准教授からの誘いを受け、3月6日から12日までの日程で、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所近郊のBWR運転訓練センターでの研修に参加した。
いわゆる「安全神話」がまだ信じられていた。
私は人一倍好奇心が強く、「もしも想定している安全装置や緊急冷却システムが全て機能しなかったときはどうなるのか」といった質問を行ったが、講師の方からは「そのような事態が発生することは考えられないし、予算の関係で全ての状況に備えるのには限界がある」という説明しか受けることはできなかった。

3月11日、東日本大震災の影響で福島第1原発事故が発生した。
1週間という短期間に起きた劇的な展開は、自身の考え方に強烈なインパクトを与えた。
特に、科学を志す以上「絶対」という言葉は慎重に使わなければならないこと、そして、「安全神話」の崩壊と震災後に出回った放射線に関する数々のデマを目の当たりにして、良いイメージにせよ悪いイメージにせよ、正しい知識を持って事実を受け入れ、世論やイメージに流されず、自分の頭で考えて備えることが大切だと感じるようになった。
そこで私は、拡張現実(AR)と放射線シミュレーションを組み合わせ、放射線を「目で見て」直感的に学ぶことができる教材の開発を始めたのだった。

国内からSIYSSへの派遣が許されるのは、毎年2人の狭き難関と知っていた。
過去の参加者を見ても東大や京大の方が多く、高専生の派遣は前例がない。
正直、自分が参加できるとは夢にも思っていなかった。
ただ、応募しても失うものはなく、将来的に後輩が応募する時に今回の経験が少しでも助けになればという思いだった。

面接審査後、紙1枚しか入っていないような薄い封筒が自宅に届いた。
私が不在のため代わりに受け取った母は落選したと思ったらしく、気を使ってしばらく封筒が届いたことを伝えてくれなかった。
数日後、机の上に置いてあった封筒を見つけた私が封を開けてみると、「派遣決定」の文字が目に飛び込んできた。

ノーベル賞授賞式





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