毎夜、空を見上げて…。
その旧チチェンの遺跡群の中で代表的なものといえば、こちら、
天文台『カラコル(El Caracol)』です。
旧チチェンのエリアにありながら、マヤ・トルテカ時代にも改築され、実用化され続けておりました。
これ、ピラミッドに劣らぬ優れものです。^^
カラコルの意味はカタツムリなのだそうですが、それは厚い石組みの壁とらせん状の階段がある 内部の構造からそう呼ばれているのだとか。
決して、カタツムリ研究所ではありませんし、天空のカタツムリ座(?)を探す場所でもありません。(笑)
9mの露台の上に、直径11m、高さ13mの観測台が載っており、観測用の3つの窓が残っています。
「地球の歩き方」によれば、
南は、子午線に向かう窓、
西南には、月没の最北線を見る窓、
西には、角度によって春分、秋分の日没と月没の最北線を正確に観測できる窓が造られているのです。
そして 天文台の台座は、金星が最も北に沈む方向にあるといいます。
ということは、この天文台を造った時点で、すでにマヤ人はかなり高度な天文学の知識があったのでしょうね~。
ここで毎夜、空を見上げて観測したというわけですが、、、、、
(あ、太陽も観測していたわけですから、一日中?)
ウォータースポーツカンクンの店長・吉田さんから戴いた資料によりますと、
現在の最新科学によって示されている太陽の公転周期は365.2522日。
今、私達が用いているグレコリオ暦(16世紀に提唱されたもの)では365.2525日であり、その差は0.0003日。
では、マヤ人が肉眼だけで観測した暦では、その周期は365.2520日、その差は0.0002日。
「グレコリオ暦では3300年に1日の誤差が生まれるのに対し、マヤの暦は96000年に1日の誤差ですむという正確さです。」と岡さん。
私からすれば、0.0003も0.0002もどちらも限りなくゼロに近いように思うのですが、
天文学の世界とは、無限に広がる天空を相手に極限まで導き出すということなんですね~。
マクロの世界とミクロの世界、究極は同じこと?
無知な私が"ゼロの概念"を語ることはできませんが、ゼロの存在をすでに理解していたマヤ人の凄さをここでも改めて感じました。
「毎夜、毎夜、この場所で観測が行われたわけですけど、
では、その細かく正確な周期を導き出すには、肉眼でどれだけの月日が掛かると思いますか?」
私は空を見上げました。
その先に夢とロマン広がるマヤ文明ですが、地道にコツコツと観測し続けたマヤ人の素朴な姿がそこにありました。
「およそ200年掛かると言われています。」
そして、彼らはそれだけでなく、金星の公転周期をも6000年に1日という誤差まで精度を高めていたそうです。
そちらは肉眼でおよそ500年の歳月を要するというのです。
[ウォータースポーツカンクンの店長・吉田さんメモ]
短気で飽き性の私は 開いた口が塞がりません。(笑)
それでも マヤ人の可愛いところは、天文学においてはこれほどに優れた能力を示しながら、
それ以外は・・・レベルの文明であったこと。
そのギャップが愛おしいと言いますか、
単純で真面目で無器用なマヤ人が想像されて、それまで遠い存在であった彼らが とても身近に感じられます。
チチェン・イツァに隣接するホテルに滞在した私は、遺跡に入場しなくても道端から見える このカラコルを、時間が許す限り、体育座りをしてぼぉ~っと眺めておりました。