師と母。

今夕帰宅すると、机の上に一通の手紙が置かれていた。裏返してみると、それは元上司から。内容は大体検討がついていた。一週間ほど前、私はまたも母と愛犬2匹と共に大分と熊本へ旅に出掛けた。大分といえば、肉厚の乾シイタケ『どんこ』。特にうちの母はそれが好きで、大分へ行くと「どんこ、どんこ」と煩く言う。今回もそんな母に従って、どんこの中でも肉厚がしっかりしている椎茸を選んで常日頃お世話になっている方達への土産...

富士は裾野。

もうひと月になる。愛犬2匹を連れて母と2泊3日の旅に出掛けた。私の運転ではこれまでで最も遠出となる『飛騨・信州・甲州の旅』。終わってみると、3日間で1585kmも走っていた。飛騨の目的は『奥飛騨温泉』。2年半前に利用した宿がとても気に入って、今回で四度目の訪問となる。これまで松茸の美味しい秋口に行くことが多かったのだが、宿の奥さんが「次はぜひ4月においでください。この辺りで採れた野草の天ぷらがとても美味しいか...

一人いにしえの旅。(4)

璉珹寺を出たのが16時少し前。その日午前3時起床の私は、そのまま帰路に就くつもりだった。それでも帰宅は午後8時を回るだろう。阪奈道路を目指して奈良市内を走っていると、IC手前で看板に唐招提寺と薬師寺の文字が現れた。ふとキトラ古墳で出会った女性との会話を思い出す。「今日はこの後どちらへ?私一人暮らしだから、良かったら泊まっていってもいいのよ。」「いえ、今日は日帰りの予定なんです。でも、キトラ以外の予定は全...

一人いにしえの旅。(3)

先月のこと、行きつけの珈琲屋さんで、特別企画として「仏をたずね、京都・奈良へ」と題した雑誌を目にした。ちょうど石舞台古墳で花見をした数日後のことで、帰りに拝した飛鳥大仏と中宮寺の菩薩半跏像の余韻からまだ冷めきれていない私は自然とその雑誌に手が伸びた。そこでふと目に留まったページに、白い女性の美しい阿弥陀如来像が袴を履いて立ってらした。その像は鎌倉時代作、モデルは光明皇后とある。女人の裸形という珍し...

一人いにしえの旅。(2)

「もうこの頃になると防衛やら他のことにお金が必要だったのか、古墳も小さくなっちゃったわね。」声の主はまた彼女だった。「ホント、私の町にある地方豪族の古墳の方がまだ大きいくらいです。でも、さすが高貴な方のお墓だけあって中はすごいですよね。」「この向こうに天武・持統天皇陵があって、この一帯はその血筋の者たちの古墳が集まってるのよね。」天皇に近い存在ならば、この壁画のように当時時代の最先端だったものが描...